解説コラム 医療費と健康保険料

一度考えてみませんか?
健康保険料の有効活用のこと。

働いている方であれば、お給料の約5%を健康保険料(以下、「保険料」といいます。)として支払っています。ご自身やご家族が病気になった時の経済的な負担の軽減に充てたり、医療保険制度の維持に必要な費用でもありますが、ご自身やご家族が将来も健康で、幸福に過ごしていくための投資でもあります。

一度「保険料」が最大限、有効活用できているのか、またご自身のからだのことについて考えてみませんか。

ご自身の保険料について。医療費と保険料(保険料率)の関係。 収入の約5%を、保険料として拠出します。

たとえば病院にかかった時、全額負担せずに2割~3割の負担で受診できます。普段はあたりまえのように考えていますが、これは皆様の保険料に支えられています。

令和5年度の協会けんぽの保険料率は全国平均で、10.00%。京都支部では、10.09%です。お勤めの方のお給料のなかから約5%※を保険料として拠出しています。※残りの5%は事業主が負担

なお、扶養に入っているご家族もお勤めの方とほぼ同じように給付を受けることができますが、保険料は扶養家族の有無や人数によって変動することはありません。

保険料の使い道

保険料は皆様の医療費や給付金に使われるだけでなく、後期高齢者(75歳以上の方)の医療費等にも使われており、日本の医療保険制度の維持に必要不可欠な費用です。

保険料の有効活用① 「いざというとき」の協会けんぽのサービスを知っておく。

世界でもトップクラスと言われている日本の健康保険制度は、皆様の“いざというとき”に寄り添います。

・仮にやむを得ず大病にかかっても…自己負担額が約6万円/月(※)を超えないような制度があります。

※ 月収(標準報酬月額)が26万円以下の方の場合。入院ベッド代など例外あり。

人口透析が必要な状態などになると1か月の医療費総額は約40万円といわれています。

・病気で休んでしまったとき、お給料の3分の2を補償する休業補償制度があります。

・出産のときも、仕事を休んでいる間の休業補償と、一時金50万円(令和5年4月から)が支給される制度もあります。

いざというとき、このような制度が使えるということを知っているだけでも保険料の有効活用につなげることができます。

保険料の有効活用② 「いざというとき」だけではない、普段からも利用できる協会けんぽのサービスとは。

協会けんぽのサービスは、いざというときだけのものではないのです。

からだの定期的チェックに関する費用補助

協会けんぽの健診 中高齢世代の死亡原因トップ3に入る生活習慣病の早期発見に特化した項目で構成されているほか、「肺がん・胃がん・大腸がん」の3つのがん検診が含まれており、また、乳がん・子宮頸がん検診を追加していただけたりと、充実しています。
※がん検診は、扶養のご家族様の健診には付きません。

まずは健康の定期確認。そして早期発見。

そして、からだの定期的チェック(健診の受診)の“効果の最大化”がポイント。使えるけんぽのサービスとは?

「健診でみえた」課題の要因をプロと探る。

協会けんぽの特定保健指導 健診結果で、メタボリックシンドロームまたはその予備群という結果が出た方は、その後のアクションが大切です。メタボリックシンドロームを早期に対処しないと、重大な病気が出現してしまい、身体がつらいだけでなく、医療費が家計の負担となる恐れがあります。

メタボリックシンドロームまたはその予備群と言われた方は、生活習慣を見直し、身体にせまる病気のリスクを減らす必要があります。

一人ではどのように生活習慣を見直せばよいのか、何が健診結果に影響しているのか理解するのが難しい方でも、協会けんぽの特定保健指導を受けることで、保健師などのプロが一緒に、生活習慣の改善プログラムを設計してくれます。

「健診でみえた」危険信号を見過ごさない。

協会けんぽの重症化予防事業 健診結果で、要精密検査、要医療機関受診という結果が出た方も、その後のアクションが大切です。
また協会けんぽは重症化予防対策として健診結果(血圧、血糖、脂質)で要治療と判定されながら医療機関を受診していない方々へ、生活習慣病の重症化および合併症の発症を防ぎ、加入者のQOLの維持を図ることを目的として、医療機関への受診勧奨を行っています。

協会けんぽは皆様の健診データをもとにリスクチェックを行い、“いま病気の可能性がある”方のリストアップを行っております。自覚症状がなくとも、協会けんぽがしっかりとリスクのチェックを行っております。ですので、皆様は医療機関にかかっていただくことで、健診を受けたことの効果の最大化に近づきます。

持続可能な医療保険制度を保つために。わたしたちがいつか年齢を重ねていった時の、次世代が背負う負担を考える。

協会けんぽ財政における支出の約35%が後期高齢者医療への拠出金

75歳以上の医療費、つまり後期高齢者医療費は、75歳未満の国民も負担する仕組みとなっています。協会けんぽからは保険料収入の約35%を、後期高齢者の医療費として充てています。

日本の人口は2021年に減少傾向へ転じましたが、高齢化はさらに進みます。保険料を拠出する世代が減り、医療費を使用する人が増える、これは今後「医療費・保険料率」が上昇する基本的な構造になっています。

全国平均を上回る京都の高齢化率。高齢化の波に負けない健康づくり

国全体の総人口は減少している一方で、高齢化が急速に進んでおり、国勢調査等の高齢化率※に関するデータによると、国全体の高齢化率(2019(令和元)年)が28.4%であるのに対し、京都府の高齢化率は29.2%と全国平均を上回っています。※65歳以上人口

急速な少子高齢化は誰にも止められません。そのような中でわたしたちができることは、いつか自分自身が年齢を重ねていった時、次世代が背負う負担を少しでも軽くして、持続可能な医療保険制度を目指していくこと。

そのポイントのひとつは、“若いうちからの健康づくり”と”保険料の有効活用“であるといえます。

健康のための生活の工夫によって、現在の保険料負担(医療費)の伸びを抑える

協会けんぽの保険料率は、現在全国で10%※を基準に都道府県ごとの地域差を反映させて決定する仕組みをとっていますが、今後人口比における高齢者の割合の変動などにより、上昇していくことが懸念されています。※平均保険料率といいます。

高齢化が免れない中で、現在の保険料負担をこれ以上増やさないようにしていくためには、医療費の伸びを抑えることが必要です。

保険料率は現役世代の医療費と、後期高齢者の医療費によって決まってくるためです。医療費の伸びを抑えるには、若いうちから健康のための生活の工夫、つまり生活習慣病の予防が必要と言われています

京都の加入者の医療費の3割を、生活習慣病が占めていることが分かっています

協会けんぽ京都支部の医療費は、がんを含む生活習慣病が3割を占めることが分かっています。(図1)

また、協会けんぽ京都支部の40歳以上加入者の約半数の方は、生活習慣病または、その予備群の可能性があることが分かっています。

これらの病気はほとんどが早期の対処で重症化を防ぐことができるといわれています。私たち協会けんぽは、生活習慣病の早期発見や予防啓発、健康増進を目的とした保健事業を大きな主軸に持ち、皆様に周知・広報を行っています。

医療費の約3割は生活習慣病とがん

(図1)生活習慣病と生活習慣病以外の医療費

補足詳細:生活習慣病に罹患している京都の加入者の医療費の内訳(がんを除く)

健康の現在値(いま)を見よう

「保険料は何に使われているの?」と思われていた方、「健康保険は現在病気の人のためだけのもの?」と思われていた方へ、保険料を有効活用するポイントについてお伝えしました。

協会けんぽ京都支部では今後も加入者の皆様が、医療保険のことやからだのことをもっと知りたくなるように、また、得た情報を未来に活かしていきたくなるような発信をしてまいります。

また、京都で働く皆様とそのご家族様の健康寿命を伸ばしていけるよう、事業の利用促進はもちろん、すでに毎年健診を受けてくださっている皆様が、これから起こすべきアクションのことなどを少しでも楽しく、また自分事としてとらえていただくために、持っているデータや、在籍する保健師などの健康増進のプロの知見を活用した情報づくりを行ってまいります。

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